【医師監修】背中にシミができるのはなぜ?治し方、ケア方法を紹介
2022/10/25
背中にできたシミが気になると、背中の開いた服を着たり水着姿になることをためらってしまいますよね。
普段は服で隠れることの多い背中にシミができてしまうのは、なぜなのでしょうか。
今回は、背中にシミができる原因やシミの種類、背中にできたシミの治し方について解説します。
目次
背中にシミができる原因は?
シミの原因は、黒色の色素であるメラニンの過剰生成と色素沈着です。
メラニンは、人間の髪の毛や肌の色を構成する色素で、メラノサイトと呼ばれる色素細胞によって毎日生成されています。
通常、生成されたメラニンは皮膚の細胞が一定周期で生まれ変わるターンオーバーによって体外に排出されるため、シミとなることはありません。
しかし、紫外線や炎症、摩擦などによる刺激を受けると、皮膚を守ろうとしてメラニンが過剰に生成されます。
過剰に生成されたメラニンは、ターンオーバーでは排出し切れず皮膚に残ってしまい、色素沈着を起こしてシミになってしまうのです。
背中にできやすいシミの種類
背中にできるシミにはいくつかの種類があり、シミの種類によって対処方法が異なります。
背中にシミができてしまったときは、なぜシミができたのか原因を把握し、シミの種類に合わせてこれまでの生活習慣やケア方法などを見直す必要があるのです。
まずは、背中にできやすいシミの種類とそれぞれの原因を解説します。
老人性色素斑
老人性色素斑は、その名の通り、加齢とともにできやすくなるシミです。
長年浴び続けてきた紫外線によってメラニンが肌に蓄積されてできるシミのため、「日光性色素斑」とも呼ばれています。
加齢によってターンオーバーが遅れていくことで、紫外線によって蓄積されたメラニンの排出が追いつかず、シミとなっていくのです。
顔や手の甲、背中などにできやすく、円形や楕円形に近い形で茶褐色をしているのが特徴で、一般的にシミと言えば老人性色素斑を指すことが多いです。
光線性花弁状色素斑
光線性花弁状色素斑は、海水浴や長時間のスポーツなどで強い日焼けをした部分にできるシミで、日焼けをした後すぐに発生するものではなく、数ヶ月後に出現します。なかには数年を経てからできる場合もあります。
上腕や胸、両肩〜背中など広い範囲に生じやすく、数mm〜2cm程度の花びらや金平糖のようなトゲトゲした形で薄い茶色をしているのが特徴です。
20~30代に多く、肌が白い方にできやすいと言われています。
摩擦黒皮症
摩擦黒皮症は、衣服による擦れや体をゴシゴシ洗うことによる摩擦が原因でできるシミです。
境界線がぼんやりとした茶色~黒色のシミが現れ、刺激が続くと次第にシミの色が濃くなり、消えにくくなっていきます。
背中や肩甲骨の周辺、腰など、体を洗う際にゴシゴシと擦りやすい部位にできるという特徴があり、ナイロンタオル黒皮症とも呼ばれています。
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着は、ニキビや虫刺され、カミソリなどで肌を傷付けてしまった後にできやすいシミのことです。
炎症が皮膚の内側にあるメラノサイトを刺激し、メラニンが過剰生成されます。
そのメラニンがターンオーバーで排出できないと、皮膚内にメラニンがたまり色素沈着が起こってシミとなります。
炎症を起こした部分に紫外線を浴びるとシミが濃くなってしまうほか、ターンオーバーの乱れによってシミが薄くなりにくくなるため、ケアをしっかりと行いましょう。
背中のシミは病気の可能性も?
これまで説明した通り、背中にできたシミはメラニンの色素沈着が原因の場合が多いですが、まれに病気が隠れている場合があります。
ここでは、背中のシミが症状として現れる病気をいくつか挙げて紹介します。
癜風(でんぷう・なまず)
癜風(でんぷう・なまず)は、マラセチアというカビの一種によって引き起こされる感染症です。
マラセチアはムレる部位で増殖しやすいため、汗をかきやすい春~夏にできやすくなります。
背中や胸に薄い茶色や白の斑点ができ、かゆみなどの症状はほとんどありませんが、細かいフケが見られるのが特徴です。
癜風ができてしまった場合は、皮膚科の受診が必要です。
基本的にはマラセチアに効果のある抗真菌剤の外用薬による治療が行われますが、肌の色を戻す治療方法はなく、自然に改善するのを待たなくてはなりません。
メラノーマ
メラノーマは、悪性の皮膚癌の一種で、「ほくろのがん」と呼ばれることもあります。
メラニン色素を生成するメラノサイトが癌化した腫瘍で、早期に発見して治療をすれば治すことができます。
背中の場合は中心部や手足の付け根近くに発生しやすく、左右対称ではなかったりギザギザとしていたりするほくろのようなシミが、徐々に大きくなっていくのが特徴です。
色の濃淡が不均一であったり、大きさがやや大きいなど気になるシミがある場合は、すぐに皮膚科を受診しましょう。
背中にできたシミの治し方
一般的なシミは、紫外線や摩擦、ターンオーバーの乱れなどによるメラニンの色素沈着が原因
ですが、シミが気になる場合は皮膚科や美容皮膚科での治療によって治すことができます。
シミを治すために皮膚科を受診すると、シミの状態を医師が判断し、種類や原因に応じた薬が処方されます。
よく処方されるのがハイドロキノンなどの塗り薬やトラネキサム酸、ビタミンといった飲み薬です。
皮膚科でシミの治療を受ける場合、保険が適用されるケースが多いですが、老人性色素斑や炎症後色素沈着などの治療は美容目的だと判断され、保険の適用外となるケースもあります。
また美容皮膚科では、薬の処方だけでなく、シミに効果があるとされるさまざまな施術を受けることが可能です。
レーザー・光治療やピーリングなど、シミのための治療法は何種類かあるので、まずは美容皮膚科でカウンセリングを受け、医師に相談しながら治療を進めていきましょう。
背中のシミを防ぐには毎日のケアが大事
背中のシミは、一度できてしまうとなかなか治りにくいですが、美容皮膚科に通って何度も施術を受けるのもそれなりの費用がかかるため、面倒に感じる方もいるかもしれません。
そこで大切なのが、毎日のスキンケアです。
続いては、背中のシミを防ぐために知っておきたいスキンケアのポイントをいくつか紹介します。
先に髪を洗っておき、体は優しく洗う
体を洗った後に髪を洗うと、流れ落ちたシャンプーや頭皮に詰まっていた汚れが、せっかくきれいにした背中に付着させることになります。
背中の肌を清潔に保つためにも、入浴時は最初に髪、その次に体の順番で洗いましょう。
体を洗う際には、柔らかいタオルを使って洗うのがおすすめです。
ナイロンタオルのように硬い素材のものでゴシゴシと背中を擦ると、黒ずみやシミの原因になります。
背中は手が届きにくい部位なので、柔らかいタオルにたっぷりの泡をのせて丁寧に洗いましょう。その後はぬるま湯でしっかりと流すのがポイントです。
シャワー後や入浴後には必ず保湿する
入浴後の肌は、皮膚から皮脂や水分が抜け出すため、乾燥しやすい状態になっています。
乾燥によって潤いが失われた肌をそのままにしてしまうと、ターンオーバーが乱れる → 保水機能が不十分な細胞を作り出す → 肌の乾燥が進む → 刺激に敏感になり、メラニンが過剰生成されやすくなる → 色素沈着が起こりやすくなる、という悪循環に陥ってしまいます。
夜の入浴後はもちろん、朝にシャワーを浴びた後も、丁寧な保湿ケアを心がけましょう。
低刺激で肌に優しいケア用品を使う
保湿ケアを行う際は、どんなケア用品を使うのかも大事なポイントです。
パラベンなどの保存料やアルコールといった肌に刺激を与える成分が配合されているものは、刺激が強すぎるため避けたほうが良いでしょう。
できるだけ低刺激で、肌に優しいケア用品を選ぶほか、シミを防ぐには、美白のための有効成分が配合された医薬部外品(有効成分が一定の濃度で配合されているもの)を選ぶのもおすすめです。
なかでも、トラキネム酸やビタミンC誘導体は美白効果が期待できる有効成分です。
このような有効成分が配合されているかどうかもチェックしてみましょう。
背中のシミは一度できると消すのは大変!正しいケアで未然に防ごう
背中にできてしまったシミは、一度できるとなかなか消えない厄介な存在です。
皮膚科や美容皮膚科でシミの治療を受けた後も、シミを再発させないために、肌に優しいケア用品を使って正しいケアを心がけてください。
たっぷりの泡で優しく洗い、背中を清潔に保つことはもちろん、洗った後には美容液やクリームなどを使ってしっかりと保湿することが大切です。
普段から背中のケアをしっかりと行い、背中美人を目指しましょう。
監修者 女医によるファミリークリニック <経歴> 他:広大前皮フ科内科/アーバンビューグランドタワーメディカルコート/重症心身障害児施設 ときわ呉/日本赤十字社等 勤務 <資格> <所属学会> |
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