【医師監修】冬になると背中がかゆいのはなぜ?原因や対処法を解説
2022/10/25
空気が乾燥しやすい冬になると、背中のかゆみに悩まされるという方もいるのではないでしょうか。
かゆいからといってかきむしってしまうと、さまざまな肌トラブルへと悪化しやすいため、適切に対処することが大切です。
この記事では、冬に背中がかゆくなる原因や、症状がひどい場合の対処法について解説します。
目次
冬に背中がかゆいのは乾燥が原因
背中に限らず、冬に肌がかゆくなってしまう主な原因は「乾燥」です。
冬になると、外は冷たい風が吹き、室内では暖房によって湿度が低くなるため、空気が乾燥しやすくなります。
そのため、空気が乾燥すると皮膚内の水分が蒸発しやすくなり、潤いが奪われて乾燥肌になってしまうのです。
また、背中が乾燥しやすくなる主な要因として、熱い温度のシャワーを浴びる、ボディタオルでゴシゴシと擦る、衣類による静電気なども挙げられます。
背中は皮脂や汗の分泌が多いとされている部位で、水分と油分のバランスが崩れて肌のバリア機能が低下しやすいため、肌内部の潤いを保つことができず乾燥しがちです。
その結果、乾燥した肌は、擦れや摩擦といったちょっとした刺激にも敏感になり、かゆみを引き起こしてしまうのです。
冬に起こる背中のかゆみを放置するとどうなる?
背中のかゆみは、放置していても改善されるものではありません。
かゆいからといってかいてしまうと、炎症を起こして湿疹(かぶれ)の症状が現れたり、乾燥性皮膚炎・皮脂欠乏性湿疹になって、冬以外でもかゆみを感じやすくなったりすることがあります。
また、乾燥によってバリア機能が低下すると、肌の細胞が生まれ変わる仕組みであるターンオーバーの乱れを引き起こし、皮脂や古い角質がたまりやすくなります。
たまった皮脂や古い角質が毛穴に詰まると、それらを栄養源とするアクネ菌が毛穴の中で増殖するため、ニキビもできやすくなるでしょう。
冬に起こる背中のかゆみは放置せず、できるだけ早く適切に対処することが大切です。
背中のかゆみがひどい・治らないときの対処法
背中のかゆみがひどい場合やなかなか治らない場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
続いては、背中のかゆみがひどい場合の具体的な対処法について解説します。
かきむしるのではなく患部を冷やす
背中のかゆみがひどいときに、かきむしってしまうのはNGです。
かきむしって皮膚の表面が傷付くことで皮膚のバリア機能はさらに低下し、かくことが刺激となってさらにかゆみが増すという悪循環に陥ってしまいます。
かいてかゆみが治まったと感じるのは、一時的なものにすぎません。
かゆみの悪循環に陥らないためにも、タオルに包んだ保冷剤などで患部を冷やし、皮膚の温度を下げることで炎症を抑えてあげましょう。
低刺激なケア用品に変える
背中の肌が乾燥し、バリア機能が低下している状態だと、普段使っているケア用品でも刺激になってしまうことがあるため、低刺激のものに変えてみるのも一つの方法です。
例えば、アルコールやパラベン、合成香料といった添加物が含まれた保湿クリームや、洗浄力の高いボディソープは、かゆみのある背中の肌には刺激が強すぎる可能性があります。
そのため、無添加にこだわって作られた保湿クリームやボディソープを選ぶことが大切です。
また、パッケージに「アレルギーテスト済み」「パッチテスト済み」などと記載されているものは、商品の安全性が確認されているものになるので、敏感肌でも優しくケアができるでしょう。
殺菌作用や抗炎症作用のある市販薬を使う
背中のかゆみがひどい場合や炎症を伴う場合には、殺菌作用や抗炎症作用のある市販薬を使うことで、症状を抑えられる可能性があります。
例えば、市販の「かゆみ止め」に含まれている有効成分には、以下のようなものがあります。
有効成分 | 効果 |
---|---|
クロタミトン | 患部のかゆみを抑える |
グリチルリチン酸 | 患部の炎症を抑える |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌作用があり、かきむしりによる化膿を防ぐ |
病院を受診する
背中のかゆみがひどく、何らかの肌トラブルが起きている場合や、赤みや炎症、ニキビなど皮膚に目立つ症状がある場合には、皮膚科の受診をおすすめします。
例えば、乾燥によってかゆみや赤みが起こる乾燥性皮膚炎の場合、保湿剤やかゆみを抑えてくれる抗ヒスタミン薬、炎症を抑えるステロイド外用薬などが処方されます。
また、肌の状態は良いのにかゆみがある場合には、肝臓などの内臓系の疾患が原因の可能性も考えられます。
その場合はかかりつけ医に相談するか、消化器内科のある病院を受診することも検討すると良いでしょう。
冬の背中は乾燥しやすい!かゆみを防ぐ方法
空気が乾燥する冬は、どうしても肌が乾燥しやすくなり、背中のかゆみも起こりやすくなります。
今は目立った症状がなくても、かゆくなる前にしっかりと乾燥対策をしておくことが大切です。
ここからは、背中のかゆみを防ぐためにおすすめのケア方法を紹介します。
保湿ケアをする
背中の肌の乾燥を防ぐために何よりも大切なのは、毎日の保湿ケアです。
入浴後すぐに、まずは化粧水で水分を補い、保湿クリームや美容液などで油分を補いましょう。
背中に塗り広げるのが難しい場合は、手の甲側にクリームを付けてみたり、専用のボディブラシを使ってみるのもおすすめです。
手が届きにくい背中は、ついつい保湿ケアを怠りがちな部位でもあります。
しかし、背中がかゆくなってからでは遅いため、普段からしっかりと保湿をして潤いのある健康的な肌の状態をキープしましょう。
保湿ケアに使用するアイテムは、配合成分に注目してみてください。
アルコールやパラベンといった肌への刺激となる添加物が含まれたものは避け、天然成分が配合されたものなど、肌に優しいものを選ぶことが大切です。
また、手が届きにくい背中には、柔らかいテクスチャーのクリームや美容液タイプなど、塗りやすさを重視して選ぶのも良いでしょう。
背中にかゆみがあり、すでに炎症を起こしている場合には、炎症を抑える有効成分「グリチルリチン酸2K」などが配合されたクリームや美容液がおすすめです。
NG習慣を見直す
冬に起こりやすい背中のかゆみを防ぐには、バリア機能を正常に保つことも重要です。
バリア機能は乾燥によって低下するほか、普段の何気ない行為が原因で起こっている場合もあるので、一度生活習慣の見直しましょう。
NG習慣は、次のようなものが挙げられます。
背中を硬いタオルでゴシゴシ洗う
入浴時に背中を硬いタオルでゴシゴシと擦りながら洗ってしまうと、摩擦により角質のキメが乱れ、バリア機能を壊してしまいます。
体を洗うときはボディソープをしっかりと泡立ててなでるように洗い、35~40℃のぬるま湯で優しく洗い流すのがポイントです。
ソープを泡立てるのが面倒という方は、ポンプ式で泡で出てくるタイプのボディソープを活用しても良いでしょう。
サイズが合っていなかったり静電気を起こしやすい素材の服を着る
衣服よる摩擦や圧迫が、皮膚のバリア機能を壊してしまう可能性もあります。
サイズが合っていない衣服の着用は控え、背中にかゆみがある状態のときは、コットンやシルクなど、摩擦が少ない天然素材のものを着用するのがおすすめです。
また、静電気による刺激も乾燥やかゆみの原因です。
服には「マイナスに帯電しやすい素材」と「プラスに帯電しやすい素材」があり、これらの素材を組み合わせてコーディネートを組んでしまうと、静電気が発生しやすくなります。
例えば、プラスに帯電しやすいウールのニットやセーターと、マイナスに帯電しやすいポリエステルのコートやジャケット、スカートを組み合わせてしまうと静電気が起こりやすくなるのです。
コーディネートを組むときは、できるだけ同じ素材の服を合わせたり、帯電しにくいとされる綿素材の服を選ぶと良いでしょう。
かゆみのある部分をかきむしる
先ほども紹介したように、かゆい部分をかくとそれが刺激となり、さらなるかゆみを引き起こします。
背中は無意識にかいてしまう方が多い部位でもあるため、生活のなかで「背中をかかない」という意識を持って過ごすようにしましょう。
生活習慣を見直してターンオーバーを整える
皮膚の水分保持力を高め、潤いのあるみずみずしい肌を目指すには、ターンオーバーを整えることも大切です。
ターンオーバーは加齢によって衰えるとともに、偏った食生活や睡眠不足、ストレスといった生活習慣の乱れが原因で正常に働かなくなることがあります。
早寝早起きを心がけ、栄養バランスの整った食事を摂るなど、規則正しい生活を送ることを意識しましょう。
特に、ターンオーバーを促す「成長ホルモン」と睡眠は深い関わりがあり、入眠後の約3時間の間に活発に分泌されると言われています。
しかし、寝る前にスマホやパソコンを触っていると眠りにつきくくなり、睡眠の質が落ちて成長ホルモンの分泌にも影響を与えることがあります。
そのため、就寝の2時間前はスマホやパソコンを見ないようにするなどの工夫をして、しっかりと睡眠をとることが大切です。
どうしても眠れないときはハーブティーを飲んだり、リラックス効果のあるヒーリング音楽を聴いて気持ちを落ち着けるのも良いでしょう。1日約7~8時間程度の睡眠時間がとれるよう、心がけてみてください。
背中がかゆくてもかいてはダメ!冬は肌の乾燥対策を徹底しよう
冬になると背中がかゆくなる主な原因は、乾燥によるものです。
かゆいからといってかいてしまうとバリア機能を低下させ、よりかゆくなるという悪循環に陥るため、かかないように対策をしましょう。
また、空気が乾燥する冬は、特に肌の水分が奪われやすくなります。
乾燥によるかゆみを防ぐためにも、顔と同じように背中もしっかりと保湿をして、肌に潤いを補給することが大切です。
肌のバリア機能やターンオーバーを正常に保つためにも、食生活や睡眠時間などの生活習慣にも意識を向けて、乾燥しにくい肌を目指してみてはいかがでしょうか。
監修者 女医によるファミリークリニック <経歴> 他:広大前皮フ科内科/アーバンビューグランドタワーメディカルコート/重症心身障害児施設 ときわ呉/日本赤十字社等 勤務 <資格> <所属学会> |
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