【医師監修】ヒジがかゆい!考えられる原因と対処法、ケア方法を紹介
2022/09/20
虫に刺されたわけでもないのに、なぜかヒジがかゆいという悩みを抱えている方は多くいるようです。ヒジのかゆみには、いくつかの原因が考えられます。
この記事では、ヒジのかゆみの原因と対処法を紹介します。
目次
ヒジがかゆい原因は?
ヒジのかゆみは、角質肥厚(かくしつひこう)が原因の可能性があります。
角質肥厚とは、古い角質が蓄積されて厚くなってしまった状態のことを指します。
角質が蓄積されると肌の潤いを保つことができず、さまざまな肌トラブルにつながるため、早めの対処が必要です。
ヒジのかゆみの原因となる角質肥厚は、次のような理由で起こりやすくなります。
紫外線や摩擦による肌へのダメージ
ヒジは日常生活のなかでもさまざまな刺激を受けやすい部位です。
例えば、「締め付け感のある衣服を着る」「机にヒジを付く」「体をゴシゴシ洗う」などの行為で、肌への圧迫・摩擦を積み重ねると、皮膚の防衛反応が働いて角質が厚くなってしまうのです。
また、紫外線による肌への刺激も、皮膚のバリア機能を低下させることにつながるので、ノースリーブや半袖を着る場合は、日焼け止めや日傘などを使用してしっかりと紫外線対策をしましょう。
空気の乾燥
角質肥厚は紫外線が強くなる夏だけではなく、空気が乾燥しがちな冬にも起こりやすくなります。
空気が乾燥すると肌の水分が奪われてしまうため、皮膚の水分と皮脂のバランスが崩れやすくなります。
水分と皮脂のバランスが崩れると皮膚のバリア機能が低下し、肌の水分を保てなくなることでさらに乾燥しやすくなってしまうのです。
このように乾燥肌が進行すると、今ある水分を逃さないようにと角質層が厚くなり、肌のゴワつきや角質肥厚を引き起こします。
悪化すると、かゆみのほかにひび割れやあかぎれ、湿疹などの症状が出ることもあるため、加湿器を使用するなどして空気の乾燥を防ぎましょう。
ターンオーバーの乱れ
肌の古い細胞が剥がれ落ち、新しいものに生まれ変わっていく仕組みをターンオーバーと言います。
ターンオーバーは、通常28日ほどの周期で行われますが、乱れて早すぎたり遅すぎたりすると、角質肥厚をはじめとする肌トラブルにつながります。
ターンオーバーの乱れは、加齢やストレス、睡眠不足、食生活の乱れなど、さまざまな原因で起こるものです。
ターンオーバーを整えるには、「好きなことをする」「適度に体を動かす」といった、リフレッシュできる習慣を生活に取り入れることが大切です。
また、入眠後3時間ほどで分泌される成長ホルモンはターンオーバーを整える働きがあるため、睡眠時間は1日7~8時間ほど確保し、ビタミンやたんぱく質も摂取できるよう、野菜や肉、魚などバランスの良い食事をとることを心がけてください。
ヒジがかゆいときにおすすめのケア方法
ある程度のヒジのかゆみは、セルフケアで緩和することが可能です。
ここからは、ヒジのかゆみを抑えるために自宅でできるケア方法を紹介します。
クリームで保湿ケアする
ヒジのかゆみの原因の一つが乾燥なので、しっかりと保湿ケアすることが大切です。
保湿クリームにはさまざまな種類があるため、どのような成分が含まれているかを確認し、ヒアルロン酸やセラミド、コラーゲン、グリセリン、BG(ブチレングリコール)など、肌に潤いを与える保湿成分がたっぷりと含まれたクリームを選びましょう。
また、ヒジがかゆいときは肌が敏感になっているため、肌に負担をかける合成香料やアルコールといった添加物が含まれていないクリームを使うのがおすすめです。
保湿クリームは、シャワーの後やお風呂上がりなど清潔な状態の肌に、1日2回ほど優しくなじませるのがポイントです。
入浴後は肌が乾燥しやすい状態になっているため、できるだけ早く保湿クリームを塗ることを意識してみてください。
入浴はぬるま湯で
熱めのお風呂やシャワーが好みの方もいるかもしれませんが、42℃以上の熱いお湯に浸かると肌の末梢神経に作用してかゆみを引き起こしてしまいます。
また、体を温めすぎると熱を放出することにより肌から水分や脂質も抜けやすくなってしまうため、乾燥にもつながります。
ヒジのかゆみを緩和するには、お風呂のお湯を35〜40℃ほどのぬるま湯に設定し、ゆったりと浸かってリラックスしましょう。
肌に優しいソープで洗う
ヒジのかゆみがあるときは、ボディソープ選びも大切です。
ボディソープのなかには香料やアルコール、パラベンといった添加物が入っていることがあり、これらは乾燥をはじめとする肌トラブルの原因になる可能性があります。
肌への負担を減らすには、添加物が少ない肌に優しいソープを使うのがおすすめです。
また、濃密な泡は、体を洗うときの摩擦や刺激を軽減してくれるため、泡立ちの良いボディソープを選ぶのもポイントです。
泡で出てくるポンプ式なら、自分で泡立てる必要がなく、手軽に使えて便利です。
天然素材の衣服を着る
ヒジのかゆみを緩和するには、衣服の素材選びも気を付けましょう。
衣服による摩擦がかゆみの原因になっている可能性があるため、腕まわりがゆったりとした衣服や、肌に優しい天然素材の衣服を着用するのがおすすめです。
コットンやシルクといった天然素材は、柔らかいだけでなく吸湿性にも優れ、ムレやベタつきを抑えるため、摩擦によるダメージを軽減できるでしょう。
生活習慣を整える
食生活の乱れや睡眠不足、ストレスといった生活習慣の乱れは、ターンオーバーに影響を与えます。
そのため、ヒジにかゆみを感じるときは、生活習慣を整えることも意識してみましょう。
例えば、たんぱく質やビタミン、食物繊維などをバランス良く摂取できるように、1日の食事回数や内容を見直してみるのも良いでしょう。
睡眠時間は1日7~8時間程度確保するのが理想です。
また、ストレスをためすぎないよう、気分転換やリフレッシュする時間を作ることを心がけましょう。
ヒジのかゆみを放置するとどうなる?適切な対処法
ヒジのかゆみの原因の一つである角質肥厚をそのままにしておくと、くすみや黒ずみを引き起こすことがあります。
また、古い角質がたまって毛穴が詰まることで、ニキビもできやすくなるでしょう。
ヒジのかゆみの原因が角質肥厚だった場合は、先ほど紹介したような自宅でのスキンケアによってかゆみを緩和させることができます。
しかし、ヒジのかゆみがひどい場合や、なかなか治らずに長引く場合は、アトピー性皮膚炎の可能性も考えられます。
強いかゆみに耐えられずにかくなどの刺激を与えてしまうと、肌のバリア機能が低下し、乾燥を引き起こしてかゆみを悪化させるという悪循環をもたらすため、皮膚科で適切な治療や薬の処方を受けることをおすすめします。
このように、ヒジのかゆみは角質肥厚以外の疾患の恐れもあります。
代表的な疾患を紹介するので、当てはまる症状があった場合は速やかに皮膚科を受診しましょう。
湿疹(皮膚炎)
湿疹は、かゆみだけでなく、皮膚表面に腫れやブツブツ、水ぶくれなどができる炎症の総称で、代表的なものとして、かぶれやあせもなどが挙げられます。
皮膚科での治療はステロイド外用薬が主に用いられ、症状によって保湿剤や内服薬が処方されることもあります。
湿疹は、しっかりと治療すれば症状を抑えることができますが、かゆいからとかいてしまうと悪化する恐れがあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下することでかゆみのある湿疹が現れ、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。
主な発症原因として、個人が持っているアレルゲンや、汗・乾燥・衣服の圧迫などのアレルゲン以外の刺激、寝不足・ストレスなどが挙げられます。
皮膚科での治療としては、薬のなかで最も効果的に炎症を押さえてくれるステロイド外用薬やタクロリムス外用薬、保湿剤が使用されます。
蕁麻疹
蕁麻疹は、皮膚の一部が虫に刺されたときのように赤く盛り上がり、かゆみのほかにチクチクとした痛みや焼けるような痛みを伴う疾患です。
原因はアトピー性皮膚炎と同じようにアレルゲンや外的刺激、寝不足・ストレスと言われています。
蕁麻疹には、アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬が使用されますが、使用をやめると再び症状が出てくることがあります。
そのため、薬の服用と併せて発症の原因を避けるなど、工夫をすることが大切です。
ヒジのかゆみは適切な治療とケアで対処しよう
ヒジのかゆみを引き起こす角質肥厚は、肌への刺激、空気の乾燥、ターンオーバーの乱れなどが原因で起こる場合が多いです。
かゆいからとかいてしまったり、放置してしまうと、ニキビや黒ずみなど別の肌トラブルにつながることもあります。
今回の記事を参考に、保湿クリームやボディソープを肌に優しいものに変える、生活習慣を整えるなど、毎日のケアを始めてみてはいかがでしょうか。
ただし、かゆみがひどいときや適切なケアをしても治らない場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
監修者 女医によるファミリークリニック <経歴> 他:広大前皮フ科内科/アーバンビューグランドタワーメディカルコート/重症心身障害児施設 ときわ呉/日本赤十字社等 勤務 <資格> <所属学会> |
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